受託開発会社のM&Aでは、売上高だけでなく、進行中の案件を最後まで納めるための工数と、納品後に残る保守業務を整理します。本記事は、案件別採算・検収・保守契約の資料づくりに絞った準備ガイドです。会社全体の売却準備はシステム開発会社の売却準備をご覧ください。
最初に作る「案件別の状況一覧」
同じ月の売上でも、検収済みの案件と開発途中の案件では、残る作業が違います。案件名を匿名の管理番号に置き換え、集計基準日を揃えて、次の情報を一枚にまとめます。見積時の想定と現在の見込みは別々に記録します。
| 項目 | 整理する情報 | 照合する資料 |
|---|---|---|
| 受注・変更 | 当初の範囲、追加仕様、追加請求の合意状況 | 見積書、注文書、変更依頼・承認記録 |
| 進捗・検収 | 完了工程、未検収の成果物、検収予定、課題 | 工程表、納品記録、検収書、課題管理表 |
| 原価・残工数 | 実績工数、外注費、完了までの見込み工数 | 工数表、外注発注書、担当PMの見通し |
| 請求・入金 | 請求済み・未請求、入金予定、回収遅延 | 請求書、売掛金一覧、入金記録 |
| 引継ぎ | 責任者、顧客窓口、必要なスキル、代替担当 | 体制図、仕様書、運用・開発手順 |
赤字案件は「理由」と「残る対応」を分ける
採算が悪化した案件は、仕様変更、見積不足、手戻り、追加費用の未合意など、理由を案件ごとに確認します。過去に発生した費用と、これから必要になる費用を混ぜず、見込みに使った前提も残してください。未確定の追加請求を確定した収益として説明しないことが大切です。
たとえば、追加開発の相談がある場合は「依頼内容」「見積提出」「顧客承認」「発注」「納品・検収」を別の状態として管理します。状態が分かれば、買い手も引継ぎ後の対応と必要人員を検討できます。
保守売上は契約金額と対応負荷をセットで示す
保守契約の一覧には、期間・更新月・対象システム・対応時間・業務範囲・担当者を記載します。定額料金で含まれる作業と、追加見積が必要な作業を分け、直近の問い合わせ件数や対応工数と照合します。
- 定期点検、障害対応、機能追加のどこまでが契約に含まれるか
- 営業時間外の対応、古い環境の維持、特定担当者への依存があるか
- 契約更新時期と、顧客に確認する必要がある事項は何か
- 引継ぎに必要な設計書、運用手順、アクセス管理が揃っているか
成果物・外注・品質資料を案件番号でつなぐ
成果物やソースコードについては、契約上の権利条項、利用するライセンス、外注先との取り決めを確認できる状態にします。権利の帰属を推測で記載せず、確認済み・未確認を区別します。顧客データや認証情報は、通常の概要資料に含めません。
テスト結果、障害記録、変更履歴、再発防止策を案件番号で紐づけると、品質管理の方法を説明しやすくなります。契約の解釈や承継の手続は、実際の契約と譲渡方式に応じて専門家に確認します。
相談前に揃える優先順位
- 進行中案件と保守契約の全体一覧を作る
- 赤字・未検収・未請求・担当者依存のある案件を把握する
- 根拠資料と不足資料の担当者・確認予定を決める
- 匿名で共有できる概要と、秘密保持後に確認する詳細を分ける
共通の必要資料はデューデリジェンスの資料一覧、協力会社との継続はBP・外注契約の確認ポイントで補足しています。
資料がすべて完成していなくても、整理状況から相談できます。受託開発会社の譲渡を相談する。譲渡企業様が当センターに支払う手数料は成功報酬まで0円です。外部専門家費用や実費等の範囲はご利用にあたって・免責事項をご確認ください。
